「キャリア面談、何話せばいいかわからない」を変える問いの設計

こんにちは、キャリアと組織の未来をつなぐ人、尾形ヒロカズです。

キャリア面談を担当している方や、制度として導入している企業の方から、よくこんな声をいただきます。

  • 面談の時間が「雑談」や「報告会」で終わってしまう
  • 本音を引き出したいけど、何を聞けばいいのかわからない
  • キャリアについて話したいと思ってもらえない

一方で、面談を受ける側からも、

  • 「正直、何を話せばいいのか困る」
  • 「面談って、結局評価や異動の話になるから構えてしまう」

という声が出てきます。

つまり、面談という場に「構造の不全」が起きているのです。

今日は、そんなキャリア面談を少しずつ変えていくために、「問いの設計」という視点から考えてみたいと思います。

目次

  1. 面談がうまくいかない理由の多くは「問い」にある
  2. 面談は「話す場」ではなく「相手の立場に立つ場」
  3. 面談の設計に使える3つのステップ
  4. 過去を振り返る問い
  5. 現在に目を向ける問い
  6. 未来を考える問い
  7. よくあるNG例と、その改善
  8. 面談の問いに「正解」はいらない
  9. 面談という日常に、問いの設計を
目次

面談がうまくいかない理由の多くは「問い」にある

キャリア面談がうまくいかない最大の要因は、問いが曖昧なまま場が始まってしまうことです。

たとえば、

  • 「最近どう?」
  • 「これからどうしていきたい?」

といった投げかけが悪いわけではありません。

ただ、問いが広すぎると、考える材料がなければ戸惑うし、答えにくいのです。

結果として、

  • 「別に特にないですね」
  • 「まあ、現状維持ですかね」

という反応が返ってくる。

これは、本人にやる気がないのではなく、問い方が適切でなかっただけのことが多いのです。

面談は「話す場」ではなく「相手の立場に立つ場」

キャリア面談の本質は、「話す」ことではなく「相手の立場に立つ」ことにあります。

上司が部下の本音を「聞き出す」ことが目的ではなく、

本人が、自分のこれからを考え始めるきっかけをつくる

という観点で設計することで、面談の質は大きく変わります。

つまり、良い問いとは、本人が「考えたくなる問い」であるということ。

そのためには、「正解」を求めるような問いではなく、「面談相手の立場に立ち」、過去・現在・未来の自分を自然にたどれるような問いの流れが必要です。

面談の設計に使える3つのステップ

面談を「考える時間」に変えるために、私がよく使うステップがあります。

それは、過去 → 現在 → 未来の順に問いを設計する方法です。

それぞれのステップごとに、問いの例をご紹介します。

過去を振り返る問い

  • 「この1年でいちばん頑張ったことは?」
  • 「うまくいった経験で、印象に残っているのは?」
  • 「どんなときに『やりがい』を感じた?」

目的:本人が「これまでの積み重ね」を自覚すること

現在に目を向ける問い

  • 「今、いちばん面白いと感じている仕事は?」
  • 「最近、“ちょっと違和感があるな”と感じたことは?」
  • 「今の業務で、自分が成長していると感じる場面は?」

目的:現状に対する納得感や、違和感の言語化を促すこと

未来を考える問い

  • 「今後、やってみたいことがあるとしたら?」
  • 「次に挑戦したいことや、学んでみたい分野は?」
  • 「どんな働き方ができると、もっと力を発揮できそう?」

目的:将来の可能性や、選択肢を一緒に見つけること

このように、「過去→現在→未来」と問いをつないでいくことで、本人の中にある感覚や思考を引き出しやすくなります。

また、面談の中で「すぐに結論を出すこと」を目的にせず、考えるプロセスそのものを肯定する姿勢が、安心感を生みます。

よくあるNG例と、その改善

たとえば、

  • 「このままでいいと思ってるの?」
  • 「何か不満あるなら言ってよ」

といった問いは、本人を責める構造になりやすく、心を閉ざす原因になります。一方で、

  • 「最近、仕事の中で“ちょっと違うな”と思ったことは?」
  • 「この先、こうなったら嬉しいなって思う瞬間は?」

といった問いは、感情や感覚を拾いやすく、話しやすい雰囲気をつくります。

面談の問いに「正解」はいらない

最後に、大切なことをひとつだけ。

問いに対して、相手が明確な答えを持っていないことは、むしろ自然なことです。

  • 「わからない」
  • 「今は何とも言えない」

という答えも、その人の「今」を表す大切な情報です。

だからこそ、問いかける側が焦らず、共に考えようとする姿勢が面談の信頼感をつくっていきます。

面談という日常に、問いの設計を

キャリア面談は、特別な場である必要はありません。

日常の中に、少しだけ問いの質を持ち込むこと。

それだけで、部下や同僚が「自分のこれから」に目を向けるきっかけをつくることができます。

忙しい現場だからこそ、面談の時間を「報告の場」にとどめるのではなく、「これからを考える場」に変えるための問いの設計を、ぜひ意識してみてください。

読んでくださり、ありがとうございました。


キャリア面談を「評価の場」ではなく、「これからを考える場」に変えるには、問いの設計が鍵になります。

正解を求めるのではなく、考えたくなる問いを投げかけること。
その問いが、本人の内省とキャリアの可能性を広げていきます。

もし今、キャリア面談の質に課題を感じている方や、制度設計に悩んでいる方がいれば、よろしければ一度ご相談ください。
問いの設計から伴走し、面談の時間を価値あるものに変えるお手伝いをしています。

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