こんにちは、キャリアと組織の未来をつなぐ人、尾形ヒロカズです。
「どうしてこの質問をしたのか、自分でもわからなくなるときがある」
これは、あるキャリアコンサルタントの方がふと漏らした言葉です。
キャリア支援や研修講師として、「問い」は最も重要なツールの一つですが、時にそれが「惰性」で使われてしまうこともあります。
本当に必要な問いができているのか。
相手に深く届く問いになっているのか。
こうした「問いの質」を見直したいと感じたとき、今、私が強くおすすめしたいのが生成AIの活用です。
今回は、キャリア面談や研修冒頭のアイスブレイクにおける「問いづくり」を、生成AIと一緒にどう設計していけるかを具体的にご紹介します。
目次
- なぜ今、「問いの質」に注目するのか?
- 生成AIで「問いの壁打ち」をするという発想
- 「問いの目的」まで伝えると、生成AIの精度が変わる
- 私が実際に使っている深掘りプロンプト集
- ① キャリアの価値観を深めるとき
- ② 初対面の緊張をほぐしたいとき
- ③ 自分らしさに自信を持てないとき
- 問いは、共に考えるための橋になる
なぜ今、「問いの質」に注目するのか?
キャリア面談では、話を深めたいと思っていても、
- 表面的なやりとりになってしまう
- 決まり文句のような質問しか出てこない
- 相手の反応が薄く、自信をなくす
といった場面に直面することがあります。
その多くは、「問いそのもの」の設計に原因があります。
問いが変わると、話の深まり方も、相手の表情も、信頼関係の築かれ方も変わる。
だからこそ、私たちは問いを磨き続ける必要があるのです。
生成AIで「問いの壁打ち」をするという発想
「この人に、どんな問いを投げかければよいだろう?」
そう考えたとき、私たちは普段、過去の経験や書籍、研修資料などからヒントを得ていますよね。
それに加えて、今では生成AIに壁打ち相手になってもらうという選択肢があります。
例えば、ChatGPTなどの生成AIに、以下のように投げかけてみます。
あなたはキャリアコンサルタントです。転職に悩んでいる30代女性に、キャリアの価値観を深掘りする問いを10個考えてください。
すると、生成AIは問いを返してくれます。以下はその例です。
- 今の仕事で「やりがい」を感じる瞬間はいつですか?
- 過去に「これは自分に合っていた」と思う仕事や環境は?
- もし何の制約もなければ、どんな働き方を選びたいですか?
もちろん、これをそのまま使うのではなく、現場の文脈に合わせて取捨選択・調整することが大切です。
でも、このような「たたき台」があることで、
- 自分の思考の枠から抜け出せる
- 他者の視点を借りて問いの幅が広がる
といった効果があります。
「問いの目的」まで伝えると、生成AIの精度が変わる
プロンプト(AIへの指示文)の質が、出力の質を決めます。
より良い問いを出してもらいたいとき、「この問いで何を相談者に促したいのか」を明確にすることが重要です。
例:
あなたはキャリアコンサルタントです。転職に悩んでいる30代女性に、
「自分の大事にしたい価値観に気づいてもらう」ことを目的に、深掘りにつながる問いを10個出してください。
このように、「対象」「目的」「ゴールの状態」を伝えると、より具体的で実用的な問いが返ってきます。
私が実際に使っている深掘りプロンプト集
以下は、私が研修や面談でよく使うテーマと、それに対して生成AIに投げかけるプロンプトの例です。
① キャリアの価値観を深めるとき
あなたはキャリアコンサルタントです。
キャリアに悩む受講者が、「自分が本当に大事にしたいこと」に気づけるような問いを10個考えてください。
② 初対面の緊張をほぐしたいとき
研修冒頭のアイスブレイクとして、「受講者の人柄や価値観が少し垣間見えるような問い」を5つ考えてください。
楽しく、答えやすく、でも少し内省が入るような工夫を入れてください。
③ 自分らしさに自信を持てないとき
「自分には強みがない」と感じている人が、自信を取り戻せるような問いを10個考えてください。
自己肯定感を下げないようにしてください。
このように、相手の状態や支援の目的に応じて、プロンプトをカスタマイズすることで、生成AIはより心強い「問いの設計パートナー」になります。
問いは、共に考えるための橋になる
面談でも研修でも、「正しい問い」を投げられることがゴールではありません。
問いは、相手と共に考えるための橋のようなもの。
その橋があれば、相手が今立っている場所と、自分が本当に行きたい場所との間に、一歩目を踏み出すきっかけが生まれます。
問いに詰まったとき、孤独に悩まず、ぜひ生成AIの力を借りてみてください。
問いの質を高めることで、支援の質も、信頼関係の質も、きっと変わります。
読んでくださり、ありがとうございました。
生成AIは、問いの「代わり」ではなく、問いを「磨くための相棒」です。
プロンプトの設計次第で、私たちの思考の幅も、対話の深さも、格段に変わります。
もし今、キャリア面談や研修設計における「問いの質」や「AIの活用」に課題を感じている方がいれば、よろしければ一度ご相談ください。
現場の文脈に合わせた生成AIの活かし方や、問いづくりの設計を具体的にサポートしています。
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