こんにちは、キャリアと組織の未来をつなぐ人、尾形ヒロカズです。
生成AIが話題になり始めてから、よく聞く声があります。
「もうAIが考えてくれるんだから、自分は考えなくていいんじゃないか?」
正直、気持ちはよくわかります。
ChatGPTのようなツールに質問すれば、それっぽい答えがすぐ返ってくる。調べものも、文章作成も、資料のアイデア出しも、驚くほど早く終わる。
でも、その便利さが広がる一方で、私は現場でこう感じています。
「これからの時代、『考える力』がますます必要になる」と。
なぜそう言い切れるのか。
今日は、私自身の研修や現場支援の経験をもとに、その理由をお伝えします。
■ AIは「問い」を立てない
まず大前提として、AIは自律的に問いを立ててくれるわけではありません。
生成AIは、人間が与えた指示(プロンプト)に従って答えを返す仕組みです。つまり、どんな問いを立てるかが、AI活用の質を左右するということ。
逆に言えば、問いがあいまいなら、返ってくる答えもあいまい。なんとなく便利に見えるけれど、よく見ると的外れだったり、表面的な情報にとどまってしまう。
このとき必要なのが、ロジカルシンキングです。
「本当に知りたいことは何か」「問題の本質はどこにあるか」
これを整理して、適切な問いを立てられるかどうかがカギになります。
■ 現場で感じた「考えずに使う」リスク
私は企業向けの研修やキャリア支援の場で、生成AI活用について話す機会が増えています。
その中で、特に印象に残っている場面があります。
とある企業研修で、AIを使って「営業資料のアイデアを出す」ワークを実施しました。
すると、あるチームはChatGPTにそのまま「営業資料を作って」とだけ指示を出し、出てきた文章をほぼそのまま採用してしまったんです。
一見、効率的に見えます。でも、よく見ると、顧客ニーズや自社サービスの強みがまったく反映されていない。
結局、そのチームの成果は評価されませんでした。
AIは確かに便利です。でも「考えずに使う」と、質の低いアウトプットが量産されてしまう。
これが、現場で実感したリアルなリスクです。
■ AI活用に必要な「考える力」とは?
では、これからの時代に求められる「考える力」とは何でしょうか。
私は大きく3つのポイントがあると考えています。
① 問題の本質を見抜く力
AIは与えられた問いには答えられますが、「そもそも何が問題か」は教えてくれません。
だからこそ、目の前の課題を分解し、本質を見極める力が必要です。
② 適切な問いを立てる力
「ざっくりした質問」と「具体的で整理された質問」では、AIの出力の質がまったく違います。
問いの精度を高めるには、論理的な思考プロセスが欠かせません。
③ 出力結果を批判的に見る力
AIの答えは、あくまで提案の一つです。
鵜呑みにせず、「これで本当にいいのか?」と疑い、検証し、必要なら修正する視点が重要です。
この3つの力があるかどうかで、AIを「ただの道具」として終わらせるのか、「価値を生む相棒」として活かせるのかが決まってきます。
■ 生成AI時代こそ、キャリアの軸が問われる
生成AIは、単純作業や情報収集を圧倒的に効率化してくれます。だからこそ、人間に残る領域がはっきりしてきたとも言えます。
それは、問いを立てる力、考える力、意味づけをする力です。
特にキャリアの観点で見ると、「どんな問いを持って働くか」がますます重要になります。
「自分は何に価値を感じるのか」
「どんな課題を解決したいのか」
「仕事を通じて、どう社会に関わりたいのか」
こうした問いを自分自身に持ち続けること。
それが、AI時代でも自分のキャリアを主体的に築くための基盤になります。
■ 「考えなくていい時代」は来ない
AIが進化すればするほど、考える力は軽視できなくなります。
問いを立て、情報を整理し、意味づけをする。その力がある人ほど、AIを使いこなし、より良い成果を出せる時代です。
逆に、考えずにAI任せで動いてしまえば、質の低い仕事や、誤った情報に振り回されるリスクも高まります。
私たちは今、AIと共に働く時代の入り口に立っています。
その時代に必要なのは、「考えなくていい時代」を夢見ることではなく、「自分の考える力」を再確認し、磨き続けることではないでしょうか。
AIと共存する時代。その未来を前向きに捉えながら、これからも現場で実践し続けていきたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
AIが進化しても、問いを立て、意味を考えるのは、やはり私たち人間の役割です。
もし今、生成AIをどう活かせばいいか悩んでいる方や、AI時代に求められる「考える力」を組織に根付かせたいと考えている方がいれば、よろしければ一度ご相談ください。
現場に合わせたAI活用の研修設計や、ロジカルシンキングの土台づくりを、伴走型でご支援しています。
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