前編では「AIが登場した今、研修講師に求められるのは“設計と編集力”だ」という話をしました。
【前編】生成AI時代に“使える研修”とは?──リピートされる講師が見ている景色
では実際に、私がどうやって生成AIを活用しながら、現場で“伝わる研修”を設計しているのか──。
今回は「リピートにつながった研修の特徴」を、5つの視点でご紹介します。
1. AIで“下ごしらえ”、現場で“味付け”する
AIに全部やらせようとしない。逆に、全部自分でやろうとしない。
ChatGPTなどを使って、
- 研修のベース案を出してもらう
- ネタの補強や、データ・引用を集める
- 参加者層に合ったワーク案を複数考える
こうした下ごしらえをAIに頼ると、準備の時間と質が劇的に改善します。
ただし、それをそのまま出すのではなく、“目の前の人に合うように調理する”のが人の仕事。
料理で言えば、AIは「レシピと下ごしらえ担当」、講師は「盛り付けと味見担当」みたいな関係です。
2. “その会社のあるある”を拾う
どんなに内容がよくても、「うちの会社と違うよね」と思われたら響きません。
そこで意識しているのが、「例え話のカスタマイズ」です。
業界や職種、文化に合わせて、事例や例え話を変える。
私がIT企業で話す時は、システム開発やバグ対応のネタ。 医療法人では、看護師や患者対応の場面に置き換えます。
この部分だけは、AIが苦手な“空気を読む力”が必要なので、人の出番です。
特に目の前の人の価値観、空気に合わせることが重要で、これこそ人の出番。
なぜなら、提供する情報が会社の、条件に合うかどうか判断するのは、今のところ人間だから、です。
3. 「実践できそう」な一歩を明確にする
受講者の変化は、「いい話だった」では生まれません。
終わった瞬間に、
- 「で、自分は何をすればいいのか」
- 「明日から何を変えればいいのか」
が明確になっていないと、現場では動けません。
私は、研修の最後に「ワンアクション宣言」という時間を設けています。
たとえば:
- 「来週の1on1では、今日学んだ“傾聴の3ステップ”を意識してみます」
- 「明日から1日1回、“ありがとう”を言葉にします」
こうした具体的な一歩が、実践へのハードルを下げてくれます。
4. 研修後に“ゆるくつながる”仕組みをつくる
1回の研修で行動が変わる人もいれば、そうでない人もいます。
そこで私は、研修後に希望者、研修先の企業向けで:
- 振り返りシートの配布
- オンラインでの“その後の困りごと”共有会
- 実践例をSNSや社内に共有するしくみ
をゆるく設計しています。
これはAIではなく、“人との関係性”で続くもの。 「また何かあったら聞きたいな」と思ってもらえる関係性が、リピートにつながります。
5. 成果を“講師視点”ではなく“クライアント視点”で語る
講師としては、「うまく話せた」「受講者がうなずいてくれた」が成果に見えるかもしれません。
でも、クライアント(企業側)が見ているのは、
- 研修後の現場の変化
- 離職率やコミュニケーションの変化
- リーダー育成の進捗 など
「目に見える結果」「できるだけ早い成果」です。
だから、報告の際もアンケートの結果だけでなく、 「受講者からこんな“変化の兆し”が見えました」 「現場でこんな声がありました」 と、“行動の芽”を見つけて伝えることがとても重要です。
まとめ:AI時代の講師に必要なのは、“共感と変化”をデザインする力
AIを使えば、準備は速くなるし、資料も洗練される。 でも、それだけでは「伝わらない」「変わらない」ことも多い。
だからこそ、講師としての役割はこれからますます重要になります。
- AIと協働して準備を整え、
- 現場のリアルに合わせて調整し、
- 一歩踏み出す後押しをする。
- ゆるくつながって変化を追い、
- クライアントに成果を届ける!
そんな講師が、これから“選ばれ続ける”存在になっていくのだと思います。
そして私自身も、まだまだアップデート中です。
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